【2019-20年末年始旅 .10】「旧オスカー・シンドラー琺瑯工場」はナチス占領下のクラクフ歴史博物館

2019年12月31日の朝。ホテルで期待しすぎていまいちだった朝食のあと、
急いで旧オスカーシンドラー琺瑯工場跡を使用したクラクフ歴史博物館へ向かいます。行く途中には大好きな Socialist Modernismな建築が。

ここの存在は前から知っていたのですが、ガイドブックに Oskar Schindler’s Enamel Factory と載っているのでオスカー・シンドラーの経営していた琺瑯(エナメル)の工場がまだ残っていてその見学かと思い「工場ね」とあまり興味が無かったのですが、
良く調べたら工場の跡地、建物を利用した1939年から1945年のナチス占領下のクラクフ、ユダヤ人の歴史博物館。映像画像多、体験型となっていてレビューも良くナチス、ユダヤ、ゲットーに興味がある私には行かない理由がありません。
ただ事前予約優先で非常に人気があるので当日いきなり行っても入れる可能性は低いとのことでしたが今はオフシーズンの真冬だしオープン前から並べば何とか行けるかなと思い急いで向かいました。

クラクフ中央駅そばのホテルからGoogle mapで検索して早く行けそうなルートで行くことに。私はトラムと徒歩のみで行きました。

列車ならKraków Zabłocie駅から歩いて行けます。

到着。

この日は9時オープンで8時半頃到着しましたが前に30人位並んでいました。
ミュージアムの壁にはオスカー・シンドラーの工場に雇用されることによって命を助けられたユダヤ人の方々の写真。

チケットは時間ごとの入場制。モニターに残りのチケットが表示されていますがこのようにほとんどチケットが残っていません。1人だし何とか9時台に入れるといいな。時間制ですが個人で中は好きなように見学できます。

無事9時12分にチケットを買い入場出来ました。真冬対応の分厚いコートは入り口のクロークで預かってくれます。ミュージアムショップにはペンや本などあり。ダビデの星がついたネックストラップ買えばよかったなぁ。

展示は文字よりも当時の写真、映像、物が多くて体験型。見ているだけで理解でき楽しめます。ところどころにスタンプコーナーがありまずは1939年のスタンプを。これがどんどん変わっていくのです。

当時の映像をのぞいてみたり、生存者の証言ショートフィルム、新聞など

こういう博物館は個人的な主観を書くより、そこに行った人が行ったまま感じるほうが良いと思うので写真を何点かそのまま掲載します。

ナチスによる占領。人間はこういう過ちを再び繰り返さないといいなとこういうミュージアムに来るたびに思います。
→ということは、こういうミュージアムに来る人が増えれば平和が増える?!

まるでテーマパークです。本当に来てよかった。

1940年 スタンプにはナチスのマーク、鉤十字のハーケンクロイツ(Hakenkreuz)

大学の時のゼミで「ドイツ史」を学んでいたのですが内容はユダヤに関することがほとんど。その頃からドイツだけでなくヨーロッパ各地でのユダヤ人の迫害、ゲットー等の映像や資料をたくさん見ていたのでもう20年以上興味を持ち続けています。
個人的にこういうミュージアムで一番興味深いのは当時の写真。
女性とドイツ兵の写真。これどこかで見たことがある。
ナチスのロゴの食器は初めて見ました。

当時の駅を再現。 Hbf = Hauptbahnhof ドイツ語の中央駅。ナチスの占領下で言語までもドイツ語に。日本も近隣諸国に同じことをしていたので過去の過ちを繰り返さないためにも日本にも過去に犯した罪の真実を伝える博物館をぜひとも作ってもらいたいと平和のために思います。

1941年 スタンプはユダヤ教ユダヤ人を象徴するダビデの星と呼ばれる六芒星。
右上の写真はユダヤ教の燭台。6本のものはメノーラー、ハヌカに使われる8本のものはハヌキアとのこと。両方あります。写真とともに当時の食器、銀製品、雑貨、衣料品等も興味津々。

左の写真、ドイツ人はいつも良いコートを着てるなと思い、右のおそらく姉妹の写真は心が痛みました。個人的にユダヤ人の女の子は美人が多いなと思っていて余計心に残ります。

ところで「琺瑯」読み方さえわかりませんでした。「琺瑯=ほうろう」英語ではEnamel (エナメル)、日本語で「ホーロー」ならわかります。左上は当時工場で製造されていた製品。その後、ユダヤ人を生き延びさせるために軍事品の製造になったそう。タイムスリップしたかのように体験できる展示はすごい!

美容室の再現、ゲットーの様子。

ゲットーの暮らし。食器棚の後ろにベッドが隠されています。

おもちゃ。人形やぬいぐるみも。可愛い!!左上はスタンプ?活字?とにかく可愛い。

子供たちの写真。可愛いなぁ。アウシュヴィッツのTwitterで収容所のガス室で殺された子供たちの写真を毎日見ていますがこんなに可愛い子をなぜと毎日考えさせられます。

外に当時の台車が残されていました。

一番右の写真がオスカー・シンドラー。
LIFE MAKES SENSE AS LONG AS YOU SAVE PEOPLE
そして美しくて目がくぎ付けになってしまったこの工場で働いていたユダヤ人の従業員の写真。

結果的に約3時間じっくり見ました。外に出るとまだまだ行列。行くなら絶対に予約がお勧めです。
Whoever saves one life, saves the world entire.
1人の人間を救うものが世界を救う。
ユダヤ人従業員がシンドラーにお礼として渡した金の指輪に刻まれた言葉。
映画「シンドラーのリスト」をもう一度観てみようと思いました。戦争映画、残虐なシーンがある映画は苦手なのですが目を背けてはいけないこともあるかなと思い頑張ってみようと思います。

~つづく~